「格安でホームページを作ります」「納期3日」──そんな甘い言葉に惹かれて発注した結果、著作権侵害でコピートラック(Copytrack)から数十万円の請求を受けた、というトラブルが増えています。
Web制作は安ければ良いわけではありません。信頼できない制作者に依頼すると、あなたのビジネスに“法的リスク”が及ぶ可能性があります。
こんなWeb制作者は危険
この記事では、頼んではいけないWeb制作者の特徴と、安全な依頼先を見極めるポイントを解説します。
無断転載素材を使う制作者は危険
安価な制作会社や個人フリーランスの中には、無料素材サイトから画像やイラストを“拾って”そのまま使用してしまうケースがあります。
一見「商用利用OK」と書かれていても、出典明記が必要だったり、二次利用不可などの条件がついていることも多く、これを守らないと著作権侵害になります。
特に海外では、Copytrack や Pixsy などの画像著作権監視サービスがAIによって無断使用を検知し、数万円〜数十万円単位の請求を行う事例が増えています。
他社サイトやテンプレートをコピーする制作者
「このサイトっぽく仕上げます」と言いつつ、実際には他社サイトのHTMLやCSSを丸ごとコピーして使う制作者もいます。
見た目が似ているだけなら参考の範囲かもしれませんが、構成やコードを直接流用するのは著作権法上の侵害に該当します。
また、既存のテンプレートを改変して納品する場合も、テンプレートのライセンス条件に従う必要があります。
(例:無料版テンプレートは商用利用NG、有料版でも再配布不可など)
素材や契約を曖昧にする業者
契約書を交わさず「とりあえず作ります」と進める業者は非常に危険です。
納品後に「著作権はうちにあるので、勝手に修正できません」などと言われるケースもあります。
また、Webサイトで使用している画像・フォント・プラグインなどの権利が明確でないと、後日トラブルになることもあります。
AI生成素材を安易に使う制作者
最近は、画像生成AIやChatGPTを使ったコンテンツ制作も増えています。
ただし、AI生成素材には「商用利用不可」「クレジット表記が必要」「一部モデルが著作権に抵触する可能性あり」といった制約が存在します。
無断でAI画像を使用したり、出典不明の文章を流用したりすると、著作権・商標・名誉毀損などのリスクにつながります。
安すぎる・実績を非公開にしている業者
極端に安い料金設定(例:5万円以下の“なんでも込み”)には注意が必要です。
コストを抑えるために、他社デザインの流用や無断転載素材の利用などが行われている場合があります。
また、実績ページに「匿名」「架空の会社」「テンプレート画像」しか載っていない業者も信頼できません。
実際に届いたCOPYTRACKからのメール例
実際に、弊社が管理しているホームページにもこのようなメールが届いています。
以下は、実際の文面をもとにした例です(内容を一部省略・整形しています)。
差出人: Copytrack GmbH
件名: 無断転載画像に関するご連絡(ケースID:XXXXX)
宛先: xxxx@xxxxx.jp送信日: 2025年6月10日
突然のご連絡で申し訳ございません。COPYTRACKはライセンスおよび著作権エージェントとして、
弊社の顧客であるXXXXXX様に代わりご連絡をしております。著作権者の方はXXXXXX様が画像を無断で使用していることを発見し、
XXXXXX様との本件に関する無断転載対応を弊社に独占的に依頼しております。こちらのご連絡前に画像を削除した場合でも、ライセンス費用をお支払い頂く必要がございます。
ケースID:XXXXX
請求金額:事後ライセンス料 389.59 € または 過去使用料 350.00 €
支払期限:2025年7月8日詳細は https://portal.copytrack.com
にアクセスし、ケースIDをご入力ください。ご対応いただけない場合は法的措置を検討いたします。
Marcus Schmitt
CEO, Copytrack GmbH
画像を使用開始した日から現在までの使用料がある日突然、請求されます。
COPYTRACKからメールが届いたときの確認ポイント
このようなメールは、本物の著作権侵害請求である場合もあれば、偽装スパムや詐欺まがいのメールである場合もあります。
そのため、まずは落ち着いて以下のように対応しましょう。メールのURLは直接開かないように注意。
- 本物かどうかを確認する
送信元ドメイン(@copytrack.com)や宛名・URLをチェックし、怪しいリンクは開かない。 - 使用した画像の出典を確認する
該当ページに使っている画像が、フリー素材や商用利用OKのものであるか再確認。 - 素材の使用履歴を確認・保存する
ダウンロード時のライセンス情報・領収書・出典URLを記録しておく。 - 弁護士または専門家に相談する
内容証明や国際送金を求められた場合は、専門家に判断を仰ぐ。
本物のCOPYTRACKからの請求だった場合の対処法
もし届いたメールが本当にCOPYTRACK(コピートラック)社からの正規な通知である場合、放置は絶対に避けてください。
ただし、慌てて支払うのも危険です。以下の手順で慎重に対応しましょう。
- 本物のメールかどうかを確認する
COPYTRACKを装ったフィッシング詐欺も増えています。まずは、次の点を確認してください。
・差出人アドレスが「@copytrack.com」になっているか
・メール内のURLが「https://portal.copytrack.com」から始まっているか
・不自然な日本語翻訳や外部リンクが含まれていないか
これらが正しければ、本物の可能性が高いです。 - 指摘された画像・ページを確認する
メールに記載された「発見ページURL」「画像のスクリーンショット」などを確認します。
・実際に自分のサイトでその画像を使用しているか
・素材をダウンロードした経緯(サイト名・日付・ライセンス条件)が確認できるか
ライセンス証明が手元にある場合は、すぐにCOPYTRACKのポータルから提示します。
(領収書・購入履歴・スクリーンショットなど) - 使用許諾が証明できない場合
もし「いつ・どこで入手したかわからない」「商用利用がNGだった」場合、残念ながらライセンス料の支払いが必要になる可能性があります。COPYTRACKは「事後ライセンス購入」または「過去使用料の支払い」という形で和解できるケースが多く、法的措置に発展する前に解決できることがほとんどです。
ただし、金額や支払方法が妥当かどうかは専門家に確認するのがおすすめです。
対策・安全に依頼するためのポイント
Web制作の外注で最も怖いのは「知らないうちに違法サイトを運営してしまうこと」です。
著作権や契約を軽視する業者に依頼すれば、あなた自身がリスクを背負うことになります。
依頼の際には以下をチェックしましょう。
- 使用素材の出典・ライセンスを確認する
画像やフォントなど、すべての素材の出典と商用利用の可否をチェック。 - 2. 契約書に著作権・使用範囲を明記する
納品後の修正権や再利用の可否など、トラブル防止のために文書化しておく。 - 3. 実績と運用実態を確認する
実際に公開中のサイトや運用中の実績を提示できる制作者を選ぶ。 - 4. AI・テンプレート利用方針を事前に確認する
生成ツール名・利用規約・ライセンス条件を明確にしてもらう。 - 5. 保守・更新・運用の体制が整っている業者を選ぶ
制作後も継続的にサポートしてくれるパートナーを見つける。
作って終わりのフリーランスや格安業者も要注意
「納品したら終了」というフリーランスや個人制作者も注意が必要です。
このような制作者は、納品後に修正依頼への対応がない、連絡が取れなくなる、契約や権利関係の書面を残していないといったケースが多く見られます。
特に、外部の素材やテンプレートを利用している場合、後から著作権問題が発覚しても連絡が取れず、依頼者側がすべての責任を負うことになります。
実際にCOPYTRACKなどの著作権請求は、制作を依頼した当事者(=あなた)に届きます。
短期的なコストを優先して「安いから」「早いから」で依頼すると、結果的に法的リスク・修正対応コストが高くつくことも少なくありません。
安全にWebサイトを制作・運用するには、権利を理解し、責任を持って制作できるパートナーを選ぶことが大切です。
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- 使用素材・画像のライセンスチェック
- 現状サイトの安全診断
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